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【幸せなメンバーが多いと挑戦する組織になる】 ~下川 哲平~
2024年06月06日
皆さま、こんにちは!
専門コンサルタントの下川です。
今日は、「人生の幸福度」について考えたいと思います。
なぜ幸福度?と思われるかもしれませんが、働く人が幸せであるかどうかは、ものづくり企業においても仕事の生産性や
イノベーションにも大きな影響を与えるのです。
本記事では、
・幸せな人がいる組織は、挑戦できる組織になる
・多くのコミュニティに属して幸福度を上げよう
というお話をしたいと思います。
国連が発表した世界幸福度報告書によると、日本の幸福度は147カ国中51位で、主要7カ国(G7)の中では最下位となっています。
さらに年齢別でいうと、60歳以上が36位で30歳未満が73位。
高齢者が幸福度を牽引しているだけで若者の幸福度は(飢餓や内戦のある国を含めた中でも)下位に近くなっています。
人が幸せと感じる要因は様々あると思いますが、その重要な要素として「属するコミュニティの数」があります。
※2014年に株式会社博報堂と幸福学で著名な慶應義塾大学の前野隆司先生の共同研究成果を引用します。
この研究成果では、
『人のしあわせは友人や親戚などのネットワークの数、所属団体などのコミュニティの数に大きな影響を受けることが明らかになりました。』
と結論付けており、人のしあわせと、所属団体数、友人の数、つきあいのある親戚の数、
facebookの友人の数が相関関係にあるデータを示しています。
実は、この研究に限らず、コミュニティと幸福度の関係に関する研究は数多くあり、世界の学者、研究機関、
マーケティング企業等がその調査結果を発信しています。
関心のある方はインターネットを調べてみてください。
ここで、日本の製造業のサラリーマン技術者を考えてみますと、(個人的なイメージではありますが)他業種に比べても終身雇用感覚が色濃く残り、
会社ヒエラルキーの中で社内政治に揉まれながら仕事をするといった雰囲気があるように思います。
会社経験は新卒以来1社、所属するコミュニティは、家と会社の2つのみ。それに加えてせいぜい町内会。
といった人も多いのではないでしょうか。
ちなみに、幸福度で常に世界1位を競っているフィンランドはじめ北欧諸国では、多くの人が10程度のコミュニティにアクセスしている
という話もあります。
もし、しあわせな感覚が足りない、不幸感を持っている方は、家・職場以外のコミュニティに飛び込んでみてはどうでしょうか。
・地域の自治会・子ども会
・勉強会・趣味サークル・習い事
・前職の同僚
・飲み屋の常連客
などなど。どのようなものでもかまいません。
きっと今よりしあわせになれると思います。
さて、この「しあわせ」は仕事や組織のパフォーマンスにどのような影響を与えるのでしょうか?
前野先生によると、人がしあわせにはいくつかの因子があるとのこと。
・やってみようの因子(不確実不明確でも行動できる)
・ありがとうの因子(人に頼り、感謝できる)
・ありのままの因子(他人を気にしない。比べない。自分らしさを大切にする)
・なんとかなるの因子(楽観。失敗を厭わず受け入れる覚悟がある)
(カッコ内は著者の解釈)
もし、このような因子を持った「しあわせ」なメンバーが多くいる組織があったとすれば、それはどんなパフォーマンスを発揮するでしょうか?
互いを尊重して信じ合い、多少のリスクがあっても思い切って挑戦をしていく。
そんな組織ではないでしょうか。
ところが、実際にはそのような理想的な組織ではなく、挑戦できない課題を抱えた組織のほうが多く見られるような気がします。
独創性のある提案は認められず、古参の上司やメンバーができない理由を並べ立てて挑戦を妨げる。
社会からの評価よりも社内の出世競争に関心が高く、互いに牽制し合って仕事をする。そんな組織です。
このような組織には、少ないコミュニティにしか属していないメンバーが多いかもしれません。
新卒以来1社のみ、家と職場の往復が人生。長年の社内人脈があり社風も仕事内容も知り尽くしているので、うまく立ち回ることができ仕事もできる。
新卒社員は比較的順当に昇進昇格するので、社内での権限も大きくなります。自分は能力が高いと信じ、
成功することが前提なので失敗は悪とみなして自分に経験のない挑戦はしません。
もしこのようなメンバーがいる場合は、社会で競争力のある組織にはなれません。
組織には多くのコミュニティに所属している「しあわせ」な人を積極的に取り入れましょう!
感謝を重んじ、失敗を許容し、挑戦心のある組織に変えることができるかもしれません。
参考文献『地域しあわせラボ リサーチレポート第2号』株式会社博報堂 2014年9月17日
https://www.hakuhodo.co.jp/uploads/2014/09/201409171.pdf