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「標準化の重要性について」 ~民本 裕貴~

2021年09月01日

こんにちは、専門コンサルタントの民本です。

 

 

みなさんは「3S」という言葉を聞いて、何が思い浮かびますか?

 

もしかしたら、多くの方は「5S」のはじめの3つである“整理”、“整頓”、“清掃”を思い浮かべるかもしれません。

 

もちろんそれもありますが、今回は合理化・改善に関する「3S」を紹介したいと思います。

 

 

合理化・改善の「3S」はそれぞれ英単語の頭文字をとったもので、

 

単純化:Simplification

 

標準化:Standardization

 

専門化:Specialization

 

のことを指します。

 

 

それぞれの定義は・・・

 

◇ 単純化
製品や仕事の種類を減らし、生産や業務を簡略化すること。生産効率の向上につながる。

 

 

◇ 標準化
モノや方法について、一定の種類や方法で統一し、標準的にすること。部品や資材、機械などのモノを対象にした標準化と

 

業務プロセスや作業など方法を対象にした標準化があり、原価低減や作業の容易化、属人化防止などに役立つ。

 

 

◇ 専門化
機種や品種の限定、仕事の分担などを行い、専業化すること。専門企業としてライバル企業に対して優位性を発揮することに繋がる。
また、社内での分業も専門化の一つだが、属人化にもつながるため、対象業務を絞るなど慎重な判断が求められる。

 

 

上記のうち、私は②標準化が特に重要かつ優先的に取り組むべきものであると考えています。

 

これには他の2つのSから考えた理由があります。

 

 

<単純化の視点>

 

単純化の前に標準化を行うことで、前後の工程を無視した無理な単純化をしてしまう可能性があります。

 

この結果、工程間で抜け漏れが発生し、製品出荷後に品質問題を引き起こす可能性を高めます。

 

改善したつもりが、お客様に迷惑をかけるばかりか、単純化前の手順に戻り、さらにその対策で以前より工程が多くなる可能性もあります。

 

したがって、標準化で全体のプロセスを明確化した上で前後の工程との整合性を確認しながら単純化を進める必要があります。

 

 

<専門化の視点>

 

専門化の前に標準化を行うことで、本当に専門化しなければならない作業は何か絞りやすくなります。

 

これは、標準化により、どのレベルの能力があればこの業務は任せられるか、逆に高いスキルや知識がなくては任せることができないシビアな作業、

 

業務は何かを明確化することができるからです。

 

 

標準化には次のようなメリットがあります。

 

【標準化のメリット例】

 

◇ 製品やサービス、業務のアウトプット品質のばらつきを抑えることができる。また部品や工程、使用設備を標準化できれば、原価低減につながる。

 

◇ 新入社員や中途社員が入っても、教える人によって仕事の仕方やアウトプットが大きく変わらないため、混乱が生じづらくなる。また教育も容易になる。

 

◇ ジョブローテーション(人材流動)のハードルが下がり、組織間の壁を薄くすることにつながる。

 

◇ 会社にノウハウが残るため、特定の担当者が退職したり急病を患っても事業継続に影響しづらくなる。

 

◇ 標準という名の正解があるため、問題発生時の原因究明から改善まで検討がしやすくなる。

 

考えればさらにメリットはありそうですね。

 

ではデメリットは何でしょうか。

 

 

【標準化のデメリット例】

 

◇ 業務や作業の標準化により、マニュアル通りに進めるだけで仕事が終わるため、創意工夫の機会が減少すること。

 

◇ 作業標準やマニュアル作成にある程度の工数を捻出しなければならないこと。

 

 

標準化には上記のようなデメリットがありますが、これは標準化に原因があるわけでなく、標準化の目的が十分に浸透していないために

 

起きるデメリットです。

 

標準化の目的は、属人化と品質のバラつき防止であると考えられます。

 

企業を取り巻く環境は、内部外部問わず日々変化を続けています。

 

そのため、標準化したものが未来永劫万全というわけではありません。一度標準化した内容に固執し続けていては、

 

結局属人化や品質のバラつきという結果に繋がります。

 

常に現在の標準を内外の環境を観察しながら、標準のアップデートを行う必要があります。

 

 

かのトヨタ自動車でも「標準なくして改善なし」という名言があるほど重要な考え方です。

 

ぜひ、みなさまの会社の製造工程、あるいは事務作業など、属人化している内容がないか探してみましょう。

 

標準化の検討により、生産性向上、品質向上などを図るきっかけになるかもしれません。