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【過剰品質に陥る設計の考え方】 ~中山 聡史~
2021年02月01日
設計者の皆さんは、構想設計内容や詳細設計内容を考えている場合に目標品質をどれぐらい意識していますか?
私が自動車メーカーエンジニアだった時、品質という観点には一番重きを置き、検討していましたし、あらかじめ各ユニットに割り当てられた目標品質を
どれだけ守れるか。
もちろん、コストに対して、矛盾する点が出てくるので、何をどう優先順位をつけ、わりきれるかを常に考えておりました。
なぜそのようにしていたかは、自動車に重大な欠陥が発生してしまった場合、お客様にご迷惑をかける、最悪の場合、悲しい結果に結び付いてしまうからです。
常日頃、そのような最悪の自体を想定し(リスクマネジメントですね)、設計しなければいけません。
そんな中、たまにこのような考え方がよぎります。
「目標品質を達成しながら、さらに品質を高め、お客様に素晴らしい製品を届ける。」
もちろん、このような考え方は悪い事ではないですし、設計者として品質を追求するのは、非常に重要な事です。
品質を造り込むために、部品のばらつきを抑制させたり(必要以上に抑制)、製造工程を変更したり、様々なプロセスの変更や作業が
必要となります。
特に部品ばらつきは、狭まれば狭めるほど、ばらつきの少ない部品のみが抽出されますが、本当にそこまで要求するべきなのでしょうか。
まさにそのような内容が過剰品質となっている部分。
また、公差設定などもそうですよね。
上記のような過剰品質の結果、原価が高くなりますよね。
原価が高くなることで、利益が少なくなります。
設計者が高い品質を求めてしまった結果、利益が少なくなり、会社に貢献できていません。
また、市場で求められていない品質を確保した製品がお客様に届けられ、お客様がまったく気付かない場合だって往々にしてあります。
実はこのような出来事は日本の製造業でまだまだ発生してしまっています。
特に流用設計をする場合、「過去のばらつき検証がそのまま使用できるのか、公差設定内容が今回開発する製品に合致しているのか」の検証がなされないまま、
出図され、製造されてしまっております。
このような事ではいつまでたっても会社利益が残りません。
設計者は、目標品質を設計の開始前に設定し(QFDのようなツールを使うのがいいでしょう)、目標品質を明確にします。
その目標品質は高くても低くてもダメです。
その目標にちょうどとなるよう検討する必要があります。
また、流用部分の内容が目標品質に合致しているのかを確認してみてください。
先ほども述べたように流用設計部分には落とし穴があるものです。
お客様にお客様が求めている品質の製品をお届けする。
これが設計者の仕事です。