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【Afterコロナに求められるモノ】 ~中山 聡史~
2022年01月05日
新年、あけましておめでとうございます。
本年もA&Mコンサルトをどうぞよろしくお願いいたします。
当社は製造業を中心として、コンサルティング活動を行っている会社のため、製造業が置かれている現状を鑑みて、
「Afterコロナに求められるモノ・コト」を様々な企業様と一緒に創造してきました。
コロナの猛威が振るわれている中で「製造業として、多くのお客様に安心・安全なモノ・コトとは?」を
考えさせられる1年だったのではないかと思います。
そのような環境下で「お客様に安心・安全なモノ・コト」を創造するためには製造業の原点に立ち戻り、考える必要があることを再認識しました。
製造業の原点とは何か?
それは「お客様がモノ・コトを使用する環境化でどのように使われているのか。また、お客様の困りごと≒ソリューションは何か」です。
メーカー独りよがりのモノ・コトでは、今までよりも更に通用しない世の中になってきていると感じます。
世の中に通用する、またお客様が求めている新たな価値を創造するためにも営業、商品企画、設計部門のメンバーはよく日常の使われ方を観察し、
体験する必要があります。
私が自動車メーカーに勤めている時の体験談を皆さまにご紹介したいと思います。
初めて中国に行った時なのですが、驚きの連続でした。日本との文化の違いを思い知らされました。
中国で走る車に興味シンシンでした。
中国の道路はどうなっているのか、運転の仕方はどうなのか、制限速度はどうなのかなど。
上海の景色よりも車ばかり見ていました。そこで感じた事を書き残しておきたいと思います。
1.制限速度
空港からホテルまでの高速道路には制限速度の看板がありませんでした。
見落としているだけかもしれません。
そのためかどうかは分かりませんが、タクシーは約160km/hの速度で走っていました。
凄く怖かったです。しかし、制限速度がある高速道路では皆さん制限速度を基本的に守っています。
たしか、制限速度は120km/hだったと思います。「守るルールがあれば、必ず守る。」という国民性を感じました。
2.路面状態
正直驚きました。
大阪の阪神高速より路面状態が良く綺麗です。オリンピックの開催や万博が開催された影響もあると思いますが。
しかし、田舎に行くと整備どころかセンターラインもない状態。
信号も古ぼけている感じでした。中国全土で見るとまだまだ全ての地域が整備されているとは言えない状況ですね。
3.運転の仕方
これも驚きました。
なぜかというと、タクシーは全てマニュアルでした。運転の仕方と関係ないと思われる方が多いと思いますが、ここからが重要です。
マニュアルでは人間が操作する分、開発する側としては色々な操作を想定していなければいけません。
ここが非常に難しい。タクシードライバーの一定の法則を見つけました。
発進する時は1速(or2速)だが、速度がほとんど上がらないのに4速ぐらいまですぐにシフトアップする。
そのため、非常に低回転の状態で走り続けます。排気量の小さい車だとトルクがなく、”ごとごと”いっています。
次に速度を上げて走っていて、渋滞などで速度が落ちてきても、なかなかシフトダウンしない。
たぶん、クラッチを切っていたと思います。などなど、基本的にはシフトチェンジをできるだけしないような運転の仕方だと思いました。
もしかすると一般の方はそうではないかもしれませんが。
いかがでしょうか。
現地に数日行っただけでも、これだけの市場分析ができたという事になります。
この体験は必ず設計する人間としては必要だと思います。「現地現物」私が自動車メーカーで1番最初に教わった言葉です。
まさにこの通りだと思いますね。
自分で見て、感じて、考えて、その国のお客様にあったモノを開発する
重要な事だと思います。
私は当時エンジンの開発を行っていました。
エンジンには様々なセンサがついており、常にエンジンの状態を把握し、エンジンコンピューターで適切な状態を保ち、
ドライバーの意図したエンジン出力を出すなどのエンジンシステムを構築しておりました。
上記の田舎の道路であれば、路面状態が荒れているためにセンサ出力が誤作動してしまう可能性があります。
では、システム構築時にどの程度荒れた路面に対応できればいいのでしょうか。
それは実際に販売する国で最大に荒れた路面の基準を定義し、その路面状態でセンサが誤作動しないようシステムを構築しながら、
評価をしなければなりません。
この基準を定義するために設計者が実際に路面を確認し、走らせて、体で感じることが最も重要です。
私はコンサルティングを通して、メーカーの人間は机に座っているだけで仕事が完成するのではなく、
設計するための前提条件をメーカーの人間自身が肌で感じてほしいという事を伝えて行っております。
読者の皆さまもぜひ市場での使われ方、困りごとを確認し、その内容を商品に活かし、新たな価値を創造してほしいと思います。